会長挨拶

臨床検査標準化事業を促進する推進力の役割を果たす

Play an important role as a driving force in promoting Clinical Laboratory Standards in Japan
Greeting from the JCCLS Chairman

会長

公益社団法人
日本臨床検査標準協議会

会長高木 康

この度、公益社団法人日本臨床検査標準協議会(JCCLS)の令和3~4年度の会長に就任しました。今後2年間、JCCLSのさらなる発展と我が国の臨床検査の標準化のさらなる充実に向けて奮励努力するつもりでおります。

臨床検査、臨床検査の精度管理に関するエポックメーキング的な事象がこの数年で2件起こりました。1つは「医療法等一部を改正する法律」で2018年12月1日から施行されました。この法律には「検体検査の品質・精度管理」と「検体検査の分類」の2つの臨床検査に関わる重要な改正点が含まれていました。従来は衛生検査所に課せられていた品質・精度管理が一般的な医療機関の検査室にも課せられ、外形基準の遵守、適切な内部精度管理の施行と外部精度管理調査への受検が義務付けられ、検体検査の品質・精度管理の維新の幕が開かれたのです。また、遺伝子・染色体検査の一般化により、臨床検査の分類が従来の6分類から「遺伝子・染色体検査」を独立させた7分類に改正され、臨床検査の実施に基づく分類になりました。

そしてもう1つが2019年12月に中国武漢を震源地として発生した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によるコロナ禍です。国民の多くが測定法であるPCR(Polymerase Chain Reaction)検査を知り、その診断の重要性と感度・特異性を含めた精度管理に対して深い関心をもち、広い知識を身につけました。2020年4月には安倍前首相が医師・看護師と同列で臨床検査技師に謝意を述べたことは、臨床検査が医療の一部として広く認められた瞬間でした。新型コロナ禍は変異株の発生により感染力が増すことで、異常なスピードで蔓延し、オリンピック開催下の我が国に襲い掛かり、新規感染症患者が10,000人を突破し、15,000~20,000人となるのも時間の問題となり、PCRをはじめとする核酸検査の重要性が一層増してきています。

このような臨床検査維新とも呼ぶべき時期(2020年4月)に『日本臨床検査標準協議会(JCCLS)』は「特定非営利活動法人」から「公益社団法人」への衣替えを果たし、今まで以上に公益性を重要視した事業を行い、臨床検査の標準化事業を行うことで、国民の福祉と健康増進に寄与することを再確認いたしました。

JCCLSは、①標準物質の研究開発事業、②臨床検査方法等のガイドライン(指針)等の策定、③臨床検査の標準化に関する情報提供、④臨床検査の標準化に関する事業への共同・協力等の4つの具体的な事業を柱に、今後もこれらを継続するとともに臨床検査の標準化に関する事業を展開するつもりでおります。

PCRをはじめとする遺伝子検査については、宮地勇人常任理事が中心となって遺伝子関連検査に関する日本版ベストプラクティス・ガイドラインを発刊するとともに、SARS-CoV-2核酸検査に関するサーベイを厚生労働省科学研究費で実施し、我が国のSARS-CoV-2検査の実態を明らかにしました。今秋には駅前PCR検査センターを含めた検査室でのPCR検査の精度管理の実態を調査する計画です。また、「医療法等一部を改正する法律」で義務つけられた一般臨床検査室の外部精度管理調査への受検に対して特に小規模検査室の受検を促進できる方略を検討し、実施することを考えております。

公益社団法人格の取得はその事業が社会的に認められ、公的活動を継続する上で極めて重要であり、一層の覚悟をもって臨床検査の標準化事業に取り組んでいきたいと考えています。今後もさらなる公益事業を行うべくキャビネットを中心に奮励努力するつもりでおります。ご支援・ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

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