ISO 15189:2003(臨床検査室−質と適合能力に対する特定要求事項)による臨床検査室の認定
日本における臨床検査室の認定
2003年にJCCLS、(財)日本適合性認定協会(JAB)、(財)日本規格協会(JSA)共催による臨床検査認定制度の説明会、関連セミナー(検査値のトレーサビリティと不確かさ)を開催すると共にJABとJCCLSが協力してISO15189に基づく「臨床検査室認定プログラム開発準備委員会(行政を含む全関係団体より構成)」が発足し,2004年秋から数施設についてパイロット審査が行われ,2005年8月より正式にJCCLS/JAB臨床検査室認定プログラムが始まることが決まった.ただし,他の国と異なり,日本の厚生労働省として,本国際規格による認定プログラムを義務付ける意向を表明していないので,当分は病院または登録衛生検査所等からの自発的申請による認定が行われる.
臨床検査室認定の基準とされるISO 15189: 2003はILAC (International Laboratory
Accreditation Cooperation)及びAPLAC(Asian Pacific Laboratory Accreditation
Cooperation)によって,2003年から正式にISO
15189:2003を臨床検査室認定の基準とすることを承認した.
台湾では2004年試験的に実施されており,既に23の臨床検査室がTAF/CNLA により認定されている.中国,タイなどでも試験的に2004年から認定を準備している.
オーストラリアでは,従来のISO/IEC17025:1999による認定プログラムは,2005年夏から全面的にISO15189によるプログラムに移行する予定である.
臨床検査室認定の国際的動向
臨床検査は,近代医療では重要な客観的情報を提供するため,不可欠のものとなっている.それらの情報を基に主治医(それぞれの患者の診療に主として責任を有する医師)が診断,治療,予後推定などの医学的意思決定を行う.しかし,大部分の臨床検査は,主治医が直接関与することなく,医療機関内の臨床検査部または独立した臨床検査センターで実施されている.すなわち,主治医は臨床検査室からの報告をそのまま信頼して重要な意思決定をしなければならないので,精確な検査報告を提供する臨床検査室の能力に全面的に依存している.その上,臨床検査室の最終顧客である患者にとって,リスク・マネジメントを含めて,より良いサービスの提供が求められている.
第二次世界大戦以後まもなく多くの検査室間の定量検査報告値が大きく変動する事実が明らかになり,臨床検査外部精度管理調査(external quality
survey, external quality assessment)が米国において1949年から定期的に行われるようになった.それ以後,欧州,日本でも広く実施されている.こうした臨床検査室の技術的能力を重視して,米国のアメリカ病理医会
(College of American Pathologists,CAP)は,1962年,会員の相互承認による臨床検査室の認定制度(Laboratory
Accreditation Program, LAP)を始めた.それに引き続き,産業界の試験所認定を1924年に始めていたNATA(National
Association of Testing Authorities,オーストラリア)が,豪州王立病理医会(Royal College of Pathologists
of Australasia, RCPA)と協力してISOガイド25による臨床検査室認定プログラムを任意に始めたのは1982年であり,1986年から強制認定に移行した.米国でも,臨床検査室とくに診療所など小規模検査室の質が大きな社会問題となり,1988年,臨床検査室改善法(Clinical
Laboratory Improvement Amendment, CLIA‘88)が施行され,国家基準に基づきすべての臨床検査室が認定を受けることとなった.その動向は欧州にも広がり,とくに英国を中心にISOガイド25及びその改訂版であるISO/IEC
17025:1999を基に臨床検査室の認定が始まり,ドイツ,フランス,スイス,スエーデン,オランダなどでも実施されるようになった。
1995年にはISO/TC212が発足し,ISO15189の国際規格案が準備中に,アジア地区でも臨床検査室認定への関心が高まり,台湾,シンガポール,インドネシア,中国,さらに日本でも臨床検査室の認定制度が導入またはその準備が進行中である.ISO15189:2003の発行を機にEA(European
Accreditation Cooperation),ILAC(International Laboratory Accreditation Cooperation)及びAPLAC(Asia
Pacific Laboratory Accreditation Cooperation)が相次いで,その国際規格の導入を決定し,豪州では2005年から同国際規格に基づく認定に移行する予定である.また,欧州連合加盟国も順次,その導入が進みつつある.米国では,国家基準に基づく強制認定が定着しているために,ISO規格についての関心は低いが,それでもISO
15189:2003発行以後は,CAPがその国際規格に基づく認証/認定プログラムを任意に提供する準備を進めており,とくに米国以外の臨床検査室を対象にしている.
ISO/IEC 17025による臨床検査室認定
世界で最も早くスタートしたのは豪州であって,NATAとRCPAが共同で1982年に任意制度として導入され、1986年からは連邦政府の資金が投入されて強制的に実施されてきて既に20年余の実績を誇っている.2004年4月現在、536検査室が認定され、20施設が申請中であった.シンガポールなど豪州以外の9施設が認定されている.日本からは,国際オリンピック委員会からの要求により、大手臨床検査センターの一つがドーピング検査に関連して認定を受けている.
豪州・ニュージランド以外では、アジア・オセアニアにおいてISO/IEC 17025:1999による認定制度を導入している国はない.
ISO国際規格以外による臨床検査室の認定 日本では,登録衛生検査所に特定した(財)医療関連サービス振興会によるマーク制度が1990年から今日まで実施されており,2004年度までに266の登録衛生検査所がマークを取得している.しかし,医療機関内の臨床検査部については何らの規定や認定制度が設けられていない.日本にある米軍病院からの検査受託の条件として,米国病理医会(CAP)による認定を受けていることが必要なことから,一部の登録衛生検査所と一つの総合病院がCAP/LAP (Laboratory
Accreditation Program)による認定を取得している.
韓国では、韓国精度管理学会が独自の基準を設定して臨床検査室認定を行っている。
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